看護業界を知らない人からすると、看護師のイメージは、どんな時も優しく、笑顔が素敵で、包容力も経済力もあるような女性だろうか。
男性でも看護師と付き合いたいと言う人が多くいるが、理由を尋ねると未だに、昔から言われている「白衣の天使」を想像している人が少なくない。
また最近は看護師のドラマも多く作られ、それを見て看護師に憧れる学生も多くいると聞くが、恐らく現実の看護業界と、それを知らない人達の間にはかなりの温度差があると感じる。
とりあえず看護師として働いていて、白衣の天使というものを私は見たことがない。そしてドラマに出てくるような、いつ何時でも綺麗な姿で、汗ひとつ流さない看護師も、見たことがない。
実際の業界は、想像やドラマの何倍も壮絶で過酷であり、煌びやかな世界とは無縁だ。業務終了時には大体、プロレスでもやってきたかのような身なりになっている。華など皆無である。
しかし、それでもこの仕事を続けることができるのは、私個人としては、この仕事が好きだから。という言葉に尽きる。
繋がった命も、亡くなった命も、今までこの仕事で関わらせて頂いた、全ての命から学ばせて頂いたことは果てしなく、その経験が日々、自分が働くことの力や糧になる。
人の命と向き合うことは、時に残酷だとも感じるが、確実に自分自身を成長させる。そしてひとつの命から感じ得たことは、どんなことでも必ず次に活かそうと思い努める。そんな毎日に、とてもやり甲斐を感じる。
目次
看護師に向いている人、不向きな人
さて、ここまで書いたことを踏まえ、看護師に向いている人とそうでない人について、私なりの考えを書きたいと思う。
看護師に向いていると思う人について
- 打たれ強い
- ストレスの発散法を知っている
- 協調性がある
- 要領が良い
- 公私混同しない
①打たれ強い
様々な患者さんや家族がいるので、仕事中理不尽なことで怒鳴られたり、クレームをつけられたり、時には暴言暴力を受けたりと言うことも多々ある。
また、病棟等だと他業種と関わることも多いが、特に医者は難しい人も多いので、ここでも嫌味を言われたり、理不尽なことを言われることも日常茶飯事である。ドラマのように、的確な指示をハキハキと出す医者ばかりではない。
そして看護師は医者以外の業種とも、架け橋的な役割で関わることも多いが、そこでも意見の食い違いで揉めることもある。
しかしそんな時に一々感情的になっていては仕事にならないので、ある程度は受け流せるような精神力が必要だと感じる。何を言われても動じずに、冷静さを保てる打たれ強さは必要。
しかしいくら仕事中冷静さを保っていたとしても人間ですもの。そんなことが続けばストレスが溜まる。その為に②がある。
②ストレスの発散法を知っている
ストレスの発散法は人それぞれだと思うが、これをするとストレス発散になるというものを自分でわかっていて、それを実践できることは大切。
①で書いたように、とにかく毎日ストレスを感じることも多いので、溜まったストレスをどこかで発散させないと、そのうち仕事に行きたくなくなる。
私は白衣の天使を見たことがないが、いるとしたら、多分その白衣の天使は相当プライベートで荒れ狂っているのだろうと思う。そうでもしないと仕事中ずっと天使ではいられないはずである。それくらい、この仕事をする上でプライベートを充実させることは必要だと感じる。
私は先輩後輩や同僚、友達と遊びに行ったり飲みに行くことが一番の発散になるのだが、そこで大いに愚痴を吐き、共感し、皆で思いっきり笑い遊ぶことで、皆も頑張ってるんだからまた私も頑張ろうと思い、また仕事に行くことが出来る。趣味でもなんでもいいので、仕事以外で自分が心から楽しめる場所を持っていることは大切。
③協調性がある
協調性が必要というのはどの仕事でも言えることだと思うが、基本的に看護師の仕事は病棟でもクリニックでも単独では成り立たず、チーム全員で協力して行うことで初めて成立するので、1人が乱れた行動をすることで容易に全体が崩れる。例えば、時間で帰れない、リスクが発生する、揉め事になるなど。
看護業界に入ってわかったことだが、私も含め、看護師はちょっと変わったというか、クセのある人が多い気がする。勿論普通の人もいるのだが、特殊な女の世界ということもあり、やはりそこで生きて行くにはある程度のクセの強さも必要ということだろうか。
そういった様々な個性を持った一人一人のスタッフの特徴を見極め、その中で協調性を持って仕事をすることは大切だと思う。
自分は今こうしたいのに。等不満を感じることも勿論あるが、一人で仕事をしているわけではないので、周りのスタッフの動きを見ながら、助け合って仕事をしようという姿勢を持てることが必要。
④要領が良い
看護師には疾患や病態に対する知識は勿論必要であるし、日々勉強すべきというのは間違いないと思うが、頭に知識や技術を詰め込んだだけでは仕事にならない。
得た知識や技術をしっかり現場で活かせなければ意味がないし、活かせるように自分の行動の仕方も考えなければならない。
病棟では特に、自分が始業前にイメージしたスケジュール通りに一日が終わることはまずない。必ずと言っていいほど、イレギュラーな仕事が突然舞い込んでくる。そんな時、すぐに自分の立てたスケジュールを組み直し、実践できなければならない。
え、次はこれをやろうと思ってたんだから、こんなことやってる時間ないんだけど。なんて言ってられないのである。
また、リーダーなどをやると右耳と左耳で、同時に違うこと聞かれたり指示されたりする。それをこなしつつ、自分の仕事もしなければならない。リーダーでなくともそんな場面が多々あるので、要領が良いに越したことはない。頭でっかちなだけでは務まらない。
⑤公私混同しない
これは私の中ではとても大事だと感じているが、これは対患者にでも、対スタッフにでも言えることで、公私混同しやすい人はこの仕事には向かないと思う。
まず患者の状態に感情的になって怒ったり泣いたり、患者の話に勝手に同情や共感して自己判断で行動する。
または、仲の良いスタッフとあまり好きではないスタッフで対応を変えたり、スタッフ間での根も葉もない噂話や情報に左右されるなど。
昔同僚が後輩に、「看護師は女優です」と指導していて、その時は何言ってるんだこの人と思って見ていたけれど、最近それはあながち間違っていないかもと感じる。
資格を持ってプロとして働いている以上、しっかり状況判断した上で患者に対応する必要があり、感情に流されて何でも患者の言うことをはいはい聞くことが正しいとは言えない。
どんなにやってあげたいと思っても、患者のために、若しくは入院している以上、できないとしっかり断らなければならないこともある。逆に、どんなに患者に嫌がられてもやらなければならないこともあって、私的感情に流されていては正しい判断ができなくなる。
また、③でも書いているが、スタッフ間では協調性を持って助け合って仕事をすることが大事であるが、そこにそれぞれが私的な感情を持ってくると当然内部は乱れ始める。スタッフ同士のいがみ合いや、ひどくなると派閥的なものができたりして、質の高い看護など提供できるはずもなくなる。
そういう意味で、看護師は女優になる必要があるのかもしれない。公私混同せず、心で色々感じることはあっても、それを表には決して出さないことが大切。とりあえずその場を適切に乗り切れるように、時には演じることも必要だと思う。
しかし勿論そんな毎日では、溜め込んだ言いたいことも爆発しそうになるので、そうなった時の為にも②が必要なのである。
看護師に向いている人、不向きな人~まとめ~
以上、私なりに思う看護師に向く人向かない人を書かせて頂いたが、私が実際①〜⑤全部に当てはまるかと言えば全くそんなことはない。今でも感情的になってしまうこともあるし、毎日色々なことに葛藤しながら仕事をしている。
それでも周りの先輩後輩、同僚と共に、協力しながら、様々な命と向き合うことにとてもやり甲斐を感じるから続けていけている。
最初から上記したことが備わってなくても経験で培われるものもあると思うので、ちょっとした参考程度になれば幸いです。
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